PM6:15 終わらない会議は時間を増すにつれてさらに終わらなさそうだ。 「夜店は?」 「却下」 「じゃぁメイド喫茶」 「却下です」 「お化け屋敷」 「…会長…何回言えばわかるんですか…文化祭の出し物は文化的かつ 学生らしいものであると決められています」 「……そんな規則変えればいいじゃないか!だいたい、お化け屋敷のどこがだめなんだ!」 「今からではぜっったいに間に合いませんし、お化け屋敷は文化的ではありません!」 「そうは言ってもさ……あーじゃぁ君のクラスは何をやるんだ?」 「校門アーチの制作です。ちなみにエドワード君達のクラスと合作です。」 「む…」 ・・・俺の名前が出て来たからってこっちみないで欲しいんだけどな。 「もうっ 会長のクラスだけですよ、まだ決まっていないのは」 「むぅ…」 「生徒会長のクラスが決まってなくてどうするんですかっ」 先輩たちの討論はもう30分にも及んでいる… にもかかわらず論点は相変わらずだ。 だいたい、会長のワガママで話が長引いているだけじゃないか。 ------------------------------------------------------------- PM6:30 南棟三階 生徒会室 「今日は生徒会企画決定の会議なのですよ? なのにいつまでたっても会長のクラスの企画が決まらないから何も決められないんですよ。」 「う…」 それを言われるとかなりキビシい…なんせクラスの企画も、生徒会の企画も決まっていないのだから。 なにをいっても怒られるならばいっそ何も言わないのも手ではないかと思い始めた頃、彼女はくるりと向こうを向いた。 「ごめんなさいね2人とも・・・今日は生徒会の企画を決めるはずだったのに」 彼女の視線の先には全校分の企画資料をホチキスでパチパチとひたすら止める作業をしている後輩二人がいた。 ちらっと横目でこちらをみて、全てこちらの責任であるかのように、エドワードは冷たい視線を送ってきた。 実際、非は完全に自分にあるので何も言えないのだけれど。 「えっ?全然いいですよ?ねっ エド」 「あ…ああ…全然大丈夫ですよ・・・?」 ホチキスで止めた資料の順番が間違っていたらしく、彼はホチキスの針を必死で取っていたところだった。 「じゃあ・・・2人とも今日はもういいわ。生徒会の企画案はまた明日決めましょう。明日も大丈夫?」 先ほどとは打って変わったようにニッコリと笑って、彼女は言った。 ああ、その笑顔の一片でめこちらに向けてくれればいいのに。 「え じゃぁ帰っていいの?」 彼はその作業に飽き飽きしていたらしく、突然嬉々とした声を出した。 「ええ 長引かせてしまったのはこっちだから。」 「いや、ぜんっせん気にしないでください!!じゃぁ先輩、俺らのクラス企画頑張りましょう!」 あからさまに彼女に向けてだけ挨拶をして出ていこうとする彼に苛つくがなんとか叫ぶことは免れた。 「そういえば明日の1限に先輩のクラスと詳しいこと決めるんだったわね…」 「あー何の係にしようかなぁー」 そう言いながら扉を閉める寸前にニヤリと笑った彼に何か見透かされている気がして妙に悔しくなった。 PM7:30 ジジッ プッブツッ 同じことばかり繰り返していればその作業にもなれてきて、かなり効率良く進んできたな、と思い始めた頃突然電気が切れた。 「停電でしょうか…?」 「そのようだ」 今まで作業に必死で気づかなかったが外は既に真っ暗で、彼女は窓から外を見てため息をついた。 「どうやら街全体で停電しているようですね」 暗闇に目が慣れてきて大分物陰は見えるが・・・ 「すぐにはつかないだろうな………帰るか・・・」 「そうですね…もうこんな時間ですし。このままにして明日の朝片付けましょう」 「よし、じゃぁ帰ろう!」 「・・・・突然元気になりましたね、会長・・・」 「ん?そうか」 さっさと身支度をして生徒会室を出ると、そこには暗く長い廊下が続いていた。 「暗いですね・・・」 「怖かったら掴まっていいよ?」 彼女はさほど怖そうに言っていなかったのだが、こういうことが言えるのは男の特権だろう。 「…別に怖くないですけど」 そうやってそっけなく言われると少し哀しくなるが、まぁこれがいつもの彼女だ。・・・と思う。 静かな廊下を渡りきり、階段を下りるとすぐ昇降口で、外は月明かりで大分明るく見えた。 「・・・・では会長お疲れ様でした」 位置の違う下駄箱から外に出て合流すると、今まで無言だった彼女は簡単に言った。 「君、迎えが来るのか?」 「いえ・・・?徒歩ですが」 「じゃぁ送る。遅いし暗いし心配だし・・・・」 最後のほうは小声で言う。 「・・・・・・小さな子供じゃないんですから。それに会長の家とは逆方向だと思いますが」 「いいよ」 「ですが…」 「・・・たまには格好つけさせてくれよ」 「…はぁ…」 そういう事で ほとんど無理矢理に送る事になったのだが、もう100メートル近く歩いたのに、 全くと言って会話がなく非常に気まずい…。 「あー…君の家って遠いの?」 何か無理矢理にでも会話をしないとかなり気まずく感じて話しかけたが、 話しかけたことに対して、彼女がどう思っているのかさっぱり分からなかったので、勝手に焦っていた。 心臓の鼓動が速い気がする。 「まあそこそこ遠いかと…あの、帰り道がわからなくなるのが心配でしたら…」 「いや そういうことじゃなくてさ…」 「?」 彼女は私の心配を全くわかっていないのだ。 こんな暗い夜道を独りで歩くなんて危険極まりない。それが心配だと言うのだ。 (それが好きな子なら尚更だろ・・・?) 「・・・・会長、明日こそは決めてくださいね」 「え、何 を・・・」 長い沈黙にも慣れて、大分沈黙が続いた。 何を話そうとか、どうやって話そうとか。 そんな事ばかりでなく、彼女の好みはなんだろうとか、彼女の趣味はなんだろうとかをボーっと考えていた時だった。 突然、彼女から話しかけてきて、一瞬思考は停止した。というか、ほとんど話を聞いていなかった。 「え・・・何を・・・って文化祭の出し物ですよ・・どうしたんですかそんなに驚いて」 考え事をしていてボーっとしていた所に彼女が突然話しかけてきたもんだから。 「あ・・いや、ちょっと考え事を ね?」 「何を考えていたんですか?」 おや、と思った。彼女がこんなに聞いてくるなんて珍しい。 「君に好きな人がいるのだろうかと」 するっと口を出てきた言葉がそれだった。 「いますけど」 しかもそれに簡単に答えてくれた。 「・・・・誰?」 「気付いていなかったんですか?」 駄目で元々だと思って、誰かと聞いてみたら、彼女がかなり驚いたのが目に見えて分かった。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」 だけど何を気づいていなかったと言うんだ? ・・・・彼女の好きな人が誰かってことを私が知っていると・・・? 「・・・あ、ここで大丈夫です。すぐそこが家ですから」 「うん・・・?」 一瞬、自分に都合の良い事が頭をよぎった。まさかそんなことは。 「まったく。いい加減私を鈍感だと思う前に自分の方が鈍感だと言う事に気づいていただけませんか」 「どういう・・・・・・」 どういう意味かと問いかけて、そこで思考は止まった。 彼女は瞬間的に背伸びして、私の頬にキスをした。 「おやすみなさい 会長」 そういうと彼女はさっと角を曲がって消えた。 「・・・・・・・・・・・・・オヤスミ・・・・・・・」 ------------------------------------------------------------------ PM 5:15 気持ち悪い、と言ったら怒られるだろうか。 いや、そんな事はないだろう。 事実、気持ち悪いのだから。その上、とても機嫌がいい。 「さぁエドワード、そちらのプリントを貰おうか?私の分はもう終わってしまったのでね」 俺の事をエドワードって呼ぶことも気持ち悪いが、異常に仕事が速いことが怖い。 まぁ俺の分をやってくれるっていうから別にいいんだけど・・・・それに裏がありそうで怖い。 もしかして明日は大嵐が来るんじゃないかとも思い始めた時、隣でもくもくと作業をしていたウィンリィがこっそり声をかけてきた。 「ねぇエド・・・なんか今日マスタング先輩の機嫌いいわね・・・仕事も速いし・・・明日雨が降るんじゃない?」 「やっぱりお前もそう思うよな・・・まぁ、気持ち悪い事この上ないけどな」 ・・・・・・でも見逃してやろうと思う。 会長のクラスの文化祭の企画も、生徒会の企画も滞りなく決定し、しかも明日までかかると思っていたこの地味で面倒なホチキス止めの作業も今日で終わりそうだから。 彼の隣でいつものように座っている彼女の機嫌もなかなかいいようだし。 こういう日が続くのはちょっと気持ち悪いから勘弁だけど、まぁ今日だけは見逃してもいい気がしている。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ いつもお世話になっております「とげparadox」の黒藤ツバキ様 より我が家の二万打超えお祝いを頂きました!        学 パ ラ も え ! (鼻血) あああ//素敵です素敵すぎます有難う御座います…!!!   このロイアイの絶妙なやり取りと最後んリザたんが新堂のハート にクリティカルヒットをくれました!             学際どうなったんでしょうか…!?後夜祭は仕事に追われてふた り生徒会室…とか!妄想も広がりまくりですよーッvvv     イラストといい小説といい素敵なお祝いを本当に有難う御座いました!                          
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