君とグラスと思惑と
「知ってる?」
「なにを?」
カラン、と氷の音をさせながらグラスを傾ける。
中身はウィスキー。特別好きなわけでもないそれは減る様子があまりない。
「ハボックに恋人ができたこと」
憮然とした表情でそう言ってみせれば、かすかに口元を緩める隣の女性が頷いた。
なんだ、知ってるのか。
「面白くない?」
「まったく面白くない」
私でさえまだこの女性を射止められてないのに、どうしてハボックのほうが先に恋人ができる。理不尽だ。
どうやら私の隣にいるこの女性は少しも私のことなんて気にかけてくれてはいないらしい。
赤いドレスに身を包んで静かにグラスを傾けている。
もしかしたらすべて見透かしていて、気付かないフリをしているだけなのかもしれない。
そんなに狡猾ではないと思うが、どうしてもそう思ってしまう。
それはつまり、それだけ私が彼女に心底惚れているということなのか。
「そんなに私といるのは楽しくない?」
「えっ! いや、そんなことはないよ。―――どうして?」
「ずっと眉間にシワ寄せてるわ」
つん、と指でそこを突っつかれてぎょっとする。寄せすぎて跡でも残ったら大変だ。
首を振って残っていたウィスキーを一気にあおり、
私は隣の席に置いておいた彼女のコートを取り上げた。
「帰るの?」
「あぁ、君の家にね。やっぱり君の作ってくれた肴で一杯やるほうがいい。どう思う、エリザベス?」
「――――そうね。付き合ってあげるわ、マスタング大佐」
“エリザベス”にコートを着させ、私たちはバーを出る。
見透かされていてもいい、いつかきちんと私の想いを告げればいいのだから。
***
++松本智明様より頂きましたーvv++
相互記念にと、増田×エリザベス話をくださいました!!感涙!
ああありがとうございますっっ!!//
なんだかちょう大人〜な雰囲気と、いつもとちょっと違うリザさんに
少しドキマギな増田んぐ・・!もえ!!です!
増田!頑張ってエリザベスをモノにしなよー!(絶賛応援中!)
松本さん!本当に有難う御座いました!
これからも何卒宜しくお願い致しますーvv
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