Trick or Treat!
「オトナシクしてなくていいのかよ」
とんとん。肩を叩かれたあたしはスプーン片手にエドを振り返った。あたしのことを素直に心配している父親の顔。
大人になったのね、なんて感慨深くなっていたら、ぺちんと額を叩かれた。
「あいたっ」
「嘘つけ、力入れてねぇっつの」
呆れたように溜息をついたエドは、それ貸せ、と無理矢理あたしからスプーンを取り上げようと手を伸ばしてくる。
もちろんあたしがそれを素直に受け入れるわけなくて、逆にその手を掴んでまだ大きくもないお腹に押し当てた。
別に胸に手をやったわけでもないのに、恥ずかしくなったのか途端に頬を染める。………なに考えてんのかしら。
「たまには動かないとダメなのよ。それに動き回ってるわけじゃないし、平気」
「いや、でも……」
ごにょごにょ。まだ何か言いたそうなエドに、あたしは仕方なくカボチャとスプーンを押しつけた。
「わかったわ、じゃああっち行ってしましょ。それでいい?」
「―――うぃ」
リビングのほうへとエドを押しやって、あたしは刳り貫いたカボチャを入れるためのボウルを持って行く。
ソファに座ったエドは既にカボチャに戦いを挑もうとしていて。
「コレ結構力いるじゃねぇか」
「そうよー? ほら、刳り貫いたのこっち入れて。あとでパイにするんだから」
隣に座ってボウルを抱え、黙々とカボチャを刳り貫き始める夫の横顔を見つめる。
いつの間にかあたしより大きくなってて、子供ができたと知ったらちゃんとあたしの体気遣ってくれるんだもんなぁ……。
そう思ったら急に愛しさが込み上げてきて、くいっとシャツを引っ張っていた。
「ね、トリック・オア・トリート」
「―――あ?」
「だから、お菓子ちょうだい」
いきなりのあたしの言葉にエドはポケットを漁る。
飴玉ひとつでも入っているのかと思ったけど、エドの手はそんなものを取り出すことはなかった。
「ないの?」
「いきなりすぎんだよ、んなもんあるか―――」
じゃあお約束。お菓子がなかったら悪戯するわ。
エドがちょうどこちらを向いたタイミングで、顔を寄せて触れるだけの軽いキス。
それに目を丸くしていたエドだったけど、みるみるうちに真っ赤になって。
「おま、なにやって……っ」
「お菓子くれなきゃ悪戯よ」
当然のように言ってのけやがって。
顔の熱はまだ引かないらしく、エドはそう呟いてまたカボチャを刳り貫き始めた。
ほんと、そういうトコはいつまで経っても変わらないんだから。
でもいいわ、そんなとこ引っ括めてエドのこと好きだから。ね、あたしの愛しい旦那さま!
***
++松本さん宅にてハロウィンフリーss頂きました!++
ハロウィンという事でフリー配布していらっしゃったので
頂いて参りましたーvv
相互ssと共に転載許可有難う御座います!
もうもう!ちょう可愛いんですよー!エドウィンがーvv
ウィンリィの事となるとわたわたしちゃうエドぱぱも可愛いですが、
一枚上手なリィままも可愛いですねぇ**
すごく和ませて頂きました!有難う御座いましたーvv
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