君からという事実が純粋に嬉しかった。
ただ、それだけなんだ。
ひとひらにのせて。
彼のスラリとした細い指が、アレンの耳に掛かった髪を一梳きし、
何かと一緒にその耳に掛けてやった。
「わ、神田?ー」
「やる」
ーー何ですか?と言うアレンの言葉を待たず、
遮るように彼の人ーー神田がいつものぶっきらぼうな物言いで答えた。
アレンは、神田が自分に与えた何かを手で確かめながら、
ふと窓に映る自分の姿を見た。
「神田、これ…」
「任務先でたまたま助かったガキに押し付けられた。
俺はそんなゴミなんか要らねぇが、捨てるのもなんだからな。」
アレンの問いに、神田はまたしてもぶっきらぼうに答えた。
アレンの髪に留まっているそれは、小さくて淡い薄桃色の花の形をした可愛い髪飾りだった。
アレンは驚きのあまり、その銀灰色の大きな瞳を更に大きく見開いて、神田を見つめた。
神田が僕に…?
神田からの突然の贈り物に、アレンの顔は次第にくしゃりと笑顔に緩む。
何を貰ったかなんて実際のところ、どうでもよかった。
ただあの神田から、という事実が純粋に嬉しかった。
アレンは、少し自分には不釣り合いに感じる可憐な花の髪飾りを、指先でそっと、愛おしそうに撫でた。
そして、まるでその髪飾りのように、頬を薄桃色に染めて、可憐な笑顔を真っ直ぐ神田に向けた。
「…なんだよ」
チ、といつもの舌打ちをした神田はいつも以上にぶっきらぼうで。
でも、ふいとそっぽを向いてしまった彼の耳は、ほんのり朱に染まっているように見えた。
アレンは、小さな子供にお礼の品をぎゅうぎゅうと押し付けられて、鬱陶しそうに、
でも結局その髪飾りを、不本意ながら受け取ってしまった不機嫌な神田を想像して、
思わず吹き出してしまった。
そんなアレンの様子を見た神田の眉間には、いつもより一層皺が刻まれた。
ねぇ、神田。
この髪飾りを見て、僕を思い出してくれたの?
遠く離れた任務地で、僕を想ってくれてた?
どんな気持ちでこれを僕にくれたの?
普段からアレンに対しての気持ちや、自分の感情でさえ、不機嫌オーラ以外あまり表に出さない神田が、
自分の事を想ってくれていた。
そんな事を考えるだけで、胸の真ん中がぽかぽかと暖かいもので満たされるを感じて、
アレンは照れた様に笑った。
「…ヘラヘラしやがって気持ち悪ィな。」
「えへへ、御免なさい。」
いつもの舌打ちと、照れ隠しの憎まれ口を叩く神田だが、
その漆黒の瞳は優しい眼差しでアレンの姿を捉えていた。
アレンはふわりと、とても幸せそうな笑顔を神田に向けた。
fin.
・・・初神アレで御座います;;糖分60l位、ですかね。
新堂的脳内設定として、ふたりは恋仲です。笑
んんー;;どうにも文が拙いですね、すみません;
や、絵も拙いですが。